- 子どもに学校以外の教育を受けさせてあげたい
- けど塾か家庭教師のどっちが向いているのかわからない…
そういった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
僕が今まで教育事業の営業をしてきて多く聞くお話は「周りも塾に行ってるからとりあえず塾かな…」と考える方が多いように感じましたが、それだけで判断するのは正直危険で、月謝をドブに捨てることに繋がりかねません。
そこで、塾講師歴4年、家庭教師歴6年、家庭教師紹介営業歴2年のぼくが、どういった子が家庭教師を始めるべきで、どういった子は塾に行くべきなのか要点を整理してみました。
家庭教師と塾の実態を比較
塾と家庭教師の違いをいくつかに分けて考えて表にまとめてみました。
ざっとこんなところを比較検討される方が多いのではないでしょうか?それでは以下から各項目について詳しく比較検討してみたいと思います。
費用について
一般的に塾と家庭教師では塾のほうが安く、家庭教師の方が高くなる傾向があります(もちろん会社によって違いますが)
だいたい、塾の1.5〜2倍くらいが家庭教師の料金だと考えていいと思います。これはなぜかというと、塾の場合だと先生1人対生徒数人での指導になるため、単純に時間あたりで指導できる人数が多い塾の方がそのぶん儲けも大きくなり、月謝も下げられるという仕組みだからです。
家庭教師の料金については他の記事でまとめてますので、よかったらご覧ください。
>>【おすすめ比較】家庭教師歴6年、300人以上の家庭教師を紹介したぼくが厳選8社を徹底比較する
授業の進度について
基本的に塾というのはカリキュラムが決まっています(個別指導でもカリキュラムはある程度組んであります)
一方で、家庭教師の場合は厳密なカリキュラムは組んでいないのが一般的です。両者のメリット・デメリットとしては、
カリキュラムが決まっている場合(塾)
◎メリット:事前にどこを学習するのか把握しやすい
◎デメリット:過去に戻って授業をすることがないので、授業のペースについていけなくなるとなかなか取り戻せない
カリキュラムが決まっていない場合(家庭教師)
◎メリット:現在勉強している単元だけでなく、過去にさかのぼって復習の授業が受けられる。余裕があれば先取り学習もできる
◎デメリット:きまったペースがない
といったところです。状況によってどちらがいいかは変わってくると思いますが、僕は300くらいのご家庭の話を聞いて、個人的に "カリキュラムが決まっていない方が良い" お子さんが多いように感じています。
というのも、成績が上がらない子のほとんどの原因が、前の段階がすっぽり抜けてしまっているからです。
どういうことかというと、例えば、「1+1」ができない子が、急に「217+768」の計算はできないじゃないですか?
そのためにまずは小学校1年生で「1桁+1桁」の計算ができるようになって、二年生になって「2桁+2桁」ができるようになって、それから3年生で「3桁+3桁」ができるようになって…と、勉強というのは過去に習ったことを踏み台として階段式にレベルを上げていくものなので、以前学んだところの基礎がボロボロだと、次のステップになかなか上がれません。
よく陥りがちなのが、中学三年生で二次関数が苦手だから二次関数ばかり勉強しているけどなかなか成績につながらないというお子さんが、実は1~2年生の時に授業をさぼりがちで、比例や一次関数を全然理解していなかった、なんてことはよくあります。
その時は二次関数ではなく、まずはその前のステップとなる比例や一次関数をやるべきなんですね。ようするに基礎の徹底ですね。
このように、勉強でつまづく原因は意外と「前の段階」にあることが多いです。そのため、さかのぼって授業ができる仕組みの方が個人的にはオススメです。
テキストについて
基本的に塾では個別・集団を問わずテキストが準備されていることが多く、家庭教師は教材は何を使っても良いという会社が多いです。
これも良し悪しなのですが、僕は中学校受験とかで相当先取りをするとかではない場合は、基本的に教材はフリーの方が良いと思います。
教材がフリーな方が良い理由は
- テストでは学校の問題集・ワークから80%出題される
- テスト前は課題提出に向けてやるべきことが多くて大変
という理由です。
①に関してですが、勘違いされる方もいるのですが、学校の定期テストは難しい勉強をたくさんやった人が点数を取れるわけではありません。
難易度の問題ではなく学校の授業を理解した人の方が絶対に点数は取れます。 だいたい基礎:応用の割合は70:30と言われています。
そのため、どんなに難しいテキストをこなしても、30%の方しか取りに行けてないのです。ですので、あえて難しい教材や学校のテスト範囲とは違う塾の教材で定期テスト対策をするのは少々危険です。
また、先生は定期テストを作る際に、あるものを参考にしてテストを作成しているのですが、なにを参考にして作っているか知っていますか?
それは、学校の教科書・ワークを参考にしてテストを作成しているのです。そのため一般的に、テストの80%は学校の教科書・ワークから数字や文字を変えて出題されるのです。
また、②に関してですが、テスト前はどこの学校でもワークからの課題提出が求められます。この時期に、学校の課題提出もやって、塾の教材も進めて、市販で買ってきた参考書もやって…なんてやってたらとてもじゃないですがやることが広すぎて大変です。
これも陥りがちなミスですが、問題はたくさん解けばいいというわけではありません。
テストに一番出題される一冊に絞って、その範囲からだったらなにを聞かれても答えられるくらいまで深掘りして理解するほうが、基礎が徹底され、頭にもしっかり定着するので応用にもその知識を利用しやすいですし、直近の定期テストだけでなく受験にも使えるので、理解や記憶を深めることは将来的にその子の財産になります。
そのため、家庭教師の先生に授業のテキストを学校の教科書・ワークにしてもらい、家庭教師の宿題も学校のワークから出してもらうことで、理解の定着にもつながるし、課題提出の分も進むし、一石二鳥で成績が伸びやすいんです。
周囲(友人)との関係性について
想像していただければわかると思いますが、塾は集団でも個別でも周囲に必ず友達がいます。一方で家庭教師は、当然先生以外誰もいなく、友達と関わることはありません。
これはその子の性格次第ですので、周りがいたほうが燃えるタイプだったら塾がいいかと思います。
逆に、周りの目が気になったり、理解していなくても周りが理解していると言えば自分も理解していると言ってしまったり、ただ友達に会えるのが楽しいだけで喋ってる時間の方が長いというような子は家庭教師の方が向いてるかと思います。
質問のしやすさについて
これも想像していただければすぐにわかると思いますが、家庭教師よりも塾の方がわからないことを質問しに行くというハードルは高いです。
また、皆さんが案外気づかないのが「うちの子は全然恥ずかしさとか感じずにすぐ質問できるタイプだから塾でいいや」というお母さんもいたのですが、実はこれすごく危険な考え方です。
なぜかというと、確かにその子はわからないことをすぐに質問できる素直な性格の子だと思いますが、逆に言うと「自分で考える習慣がない子」とも言えます。
テストや受験の本番では誰も助けてくれません。自分で思考し、自分で答えを出さないといけないのです。そのため、普段の自主学習の時点でなんでも先生に質問してしまう子というのは、実は成績が伸びづらい特徴なんです。
4年間塾講師をやってきて、こういう子は最終的に受験ではあまり結果を残せませんでした。
そのため、質問しすぎちゃう子の場合は、家庭教師の先生にその旨を伝え、先生はあえて教えすぎず「どう考えたらいいと思う?」と問うことで、考えさせるトレーニングをした方がいいです。 塾だと全体の授業進行があるのでさっさと教えてしまうことの方が多いですので、そういった場合あまり塾は向いていません。
先生との相性について
成績が上がるか上がらないか、勉強をするようになるかどうかは先生と相性が大きく関係してくると僕は考えています。考えてみてください。
皆さんが今まで勉強をしてきてやる気がアップした時には、必ず誰かが関係していませんでしたか?
テストで良い点が取れてお母さんに褒められた、歴史の先生の授業が面白くて歴史にはまった、宿題をやったらしっかり褒めてくれる先生がいたから宿題は必ずやった、など、人がきっかけでやる気になることが非常に多いかと思います。
ですので、誰に教えてもらうかというのは本当に大切なんです。
尊敬もしてないし好きでもない先生から「勉強しろ」と言われるのと、尊敬してて慕ってる先生から同じことを言われるのとではどちらの方がやる気になるかは、誰でも想像がつきますよね。
ですので僕は基本的に、難関私立高校や中学難関御三家を目指して塾に入るなどでない限りは、先生の相性を選べる家庭教師の方をオススメします。
家庭教師をはじめてみて、先生の相性が良く、勉強も好きになり、以前よりも勉強習慣がついてきたという段階にまでなったら塾に切り替えるというのが理想的な流れかと思います。
勉強なんかしたくもないのに、塾に入って、先生との相性も合わなくて…となったら余計に勉強しなくなりますからね。
宿題について
成績を上げるためには、宿題や自宅学習の習慣づけが非常に大切になってきます。
成績というのは授業を受けたり教科書を読んでいるだけでは絶対に上がりません(中には、見ただけで教科書を写真を撮るように記憶できる方もいますが、ほとんどの方はそれは無理です)
なにをすれば成績が上がるかというと、自分で解いたり、小テストをしたりなど、要するにアウトプットしている時に初めてその知識は自分の中で使える知識として腹落ちするので、授業を受けて満足していては成績は一向に上がりません。
ですのでこの、宿題をやる・自分で勉強するという行動が成績を上げるためには切っても切り離せない要素なんです。
一般的に塾では生徒全員に画一的に宿題を出します。
「今日は二次関数の導入部分をやったから、45ページの大問1解いてきて」という感じです。そして次回の授業の最初でその部分の答え合わせや解説をするといった流れです。塾でよくあるのが「宿題をやってこない子」です。
宿題をやってこない子に対して塾はどういう対応を取るかというと、「次からはちゃんとやってこようね」と言うくらいです。厳しく注意したり、宿題をレベルを変えて個別で出してあげるなどしてあげたいところですが、そうしない(できない)理由は、全体の授業進行が遅れるからです。
僕も塾講師を4年やっていたのでわかるのですが、一人ひとりにそんな対応をしている時間がありませんでした。
一方家庭教師では、その子のレベルや状況に合わせて宿題を出します。「今日はちょっと難しかったみたいだから少なめにしとくね!」「最近やる気すごいから4ページくらい頑張っちゃおうか!」と、負荷を調整できます。
そうすることで、本人のモチベーションも安定させやすいです。
自分にとっては簡単だったけど宿題が少なかったり、難しく感じたのに宿題もたくさんある、となると、なかなか宿題や自宅学習のモチベーションを保つことができません。その部分もうまく調整して管理してくれるという点では家庭教師の方がいいかと思います。
塾に通うべき子の特徴のまとめ
今までの話を総合してまとめると、塾に通い始めた方がいい子は
- 金銭的に家庭教師は難しい
- すでに自宅学習の習慣があり、予習復習がちゃんとできる
- 自分が何が苦手で、なにを勉強すべきか考えられる
- 競争心が強く、誰かと競った方が伸びる
- どんな先生でも、頑張れる
- すぐに人に聞くのではなく、自分で考える習慣がある
といった子かと思います。
改めてまとめてみると、塾に行った方がいい子と言うのは、ある程度学習において自立している子と考えていいでしょう。そうでなく、勉強が嫌いだったり、学習習慣がない子は、まずはリハビリとしてそこを直すために家庭教師から始めることをオススメします。
家庭教師にすべき子の特徴のまとめ
今までの話を総合してまとめると、家庭教師を始めた方がいい子は
- 自宅学習の習慣がない
- 勉強がそもそも嫌い
- 集団授業だと話を聞いてないことが多い
- 周りにペースを合わせてしまう
- 学校の定期テストで成果を出したい
- 先生との相性を大切にしたい
といった子かと思います。学習習慣がなかったり、なにを勉強していいかわからないなど、まだ勉強面で自立できてない場合は、金銭的な折り合いさえつけば絶対に家庭教師から始めることをオススメします。
それらが改善されたら塾に切り換え、周りと競わせたり、自発的に勉強させるという流れにした方がいいかと思います。
塾・家庭教師選びの参考になりましたら嬉しいです。家庭教師会社の比較記事もありますので、ご参考にどうぞ。